山田学区社会福祉協議会

『ピカッと草津』(令和4年度からの新たなまるごとの地域づくり)


はじめに

 今まで、地域福祉活動の構築だけに力を注いでいた医療福祉を考える会議を「誰でもが訪問サービスを受けやす い地域」、フォーマルサービスに光を当てた地域づくりを進めたいと考えています。この物語は、新たな地域理解を広げる提案です。
【老上・笠縫東・山田学区】
 老上・笠縫東学区は、市内で一番早く生活支援体制整備事業を取り組んだ学区であります。
山田町

草津総合病院長の講演

山田町

大根炊きフォーラム

 山田学区も、いろいろな工夫をした生活支援体制整備事業第2層協議体(医療福祉を考える会議)を進めてきました。なかでも、草津総合病院長の平野先生の講演をお聞きして話し合ったり、大根炊きフォーラム、学区の ボランティアグループとの話し合い、地域を改めて知るためのすごろくゲームなどが記憶に残るユニークな取り組みでした。
 このように、長く取り組んでいる学区では、多種多様な話し合いや活動もそれなりに広がりを得たものの、 「もうすることがない」 「社協で考えて」等、 医療福祉を考える会議の意味や必要性は理解されているものの具体的な目標が見えず、 「会議自身が受け身」となっています。
 また、会議のストーリーがないため、 (単発化している) 「今後どうすればいいのか」 「会議を進めて何が出来上がるのか」が見えず、その場限りの会議になっています。しかも、地域福祉活動・助けあい活動はすぐに立ち上がりま せん。そこで、ある一定のGOALを感じられ、それまでのストーリー(過程)が見える「医療福祉を考える会議(生活支援体制整備事業第2層)」を進めていきたく考えます。
 支え合い活動をつくるだけでなく、地域全体の課題を共有し解決する取り組みを考える「地域づくり会議」としてモデル化していきたいものです。

       《介護を必要とする在宅高齢者が増加》
〇滋賀県の平均寿命と健康寿命 (平成27年厚労省)
平均寿命(A) 健康寿命(B) 平均寿命(A)-健康寿命(B)
男性 女性 男性 女性 男性 女性
全国1位 全国3位 全国16位 全国42位 全国41位 全国45位
81.78歳 87.57歳 72.3歳 74.07歳 9.48歳 13.5歳
〇学区・区別 人口・高齢化等の変化
 
〇令和4年度 福祉実態調査 令和4年7月
 
〇学区別 要支援・要介護認定者と訪問サービス利用者数

1.今まで医療福祉を考える会議の課題

 会議では、事業所はお客様となり、行政・包括・社協が支え合い活動の構築を中心に、いろいろなテーマを設定し、プレ会議で地域合意を図り実施してきました。
 しかし、地域の支えられる側は、適切なサービスと地域福祉活動の両輪が必要となり、そこに地域の理解があり、支え合い活動が広がると考えます。ある一定の地域福祉活動をつくっていただいた学区では、「もっと作れと 言うのか」「担い手がいない」と深く進めても、地域は消化不良を起こしていきます。
 そこで、視点を変え適切なサービスを学区民に提供するため事業所をどのように支えられるのかという視点で、サービス・事業所の悩みを地域で応援、出来ることを考える、みんなで理解を広げるという地域づくりをテー マに住民と事業所・行政等が集まっている会議の場で理解を広げていきます。最後に、適切なサービスと地域福祉活動の両輪があり、「安心して住み続けたい」「住み続けられる地域」になります。地域福祉活動の良さを感じな がら、サービスが適切に受けられる「地域づくり」を実施し、地域福祉活動をつくることを最重要と考えてきた医療福祉を考える会議を地域づくりのイメージで丸ごとの福祉風土の高揚を考えています。
 

2.GOALは、在宅サービスを地域で応援、それも地域ができる活動

草津市のケアマネ、事業所の悩み
 入所施設や社会的入院施設等は、今後増えていかない中、コロナフレイルの影響もあり、暮らしの問題がある方の在宅化が進み、訪問サービスの利用は増大しています。
 しかし、訪問サービスを提供するにあたり、事での訪問、駐車場の問題があり、サービス事業所は困っています。法律上可能であり、県警へ駐車許可を提出するものの、地域理解がない状態と貧困が広がりつつある中では、 駐車許可数も少なくサービス事業所が選べない状況です。
 そして地域でも、サービス利用者は一定の方のものであるという、なかなか我が事として理解がされていない状況で、サービスが適切に提供しにくい状況も生まれています。その課題を地域と共に考え、医療、福祉、地域が 集まる「医療福祉を考える会議」の場で、訪問サービスを受けやすい地域理解を拡げていく必要があると考えています。
 できれば訪問サービスの理解を広げ、協力できる自治会館、まちづくりセンター、事業所等の駐車場などが空いている時には、一声かけて駐車できる福祉風土を高めていくことが大切だと思います。
 最後に、訪問サービス地域応援駐車場マップ、福祉車両も駐車してもいいエリア等を設置し、地域の課題解決に向けた具体的な活動で「やった感・GOAL感」を感じることができるこの取り組みをベースに、 学区民の理解拡大 と、サービス事業者はサービスの向上を願い、暮らしの中に溶け込める質の良い在宅サービスにつながることを期待します。

3.未来につなぐ地域イメージ

  地域

 地域住民が主体的に取り組む支え合い活動

  インフォーマルサービス

 ・支え合い運送支援サービス
 ・見守りサービス
 ・居場所、つながり等

  《未来の地域》


 〇困っている人が困っていると言える地域
 〇困っていることを解決できる地域
 〇誰でもが安心して住み続けられる地域
 〇住民同士だけでなく企業等地域にあるすべての人がつながり合う地域
 〇サービスが選択でき、サービスが適切に得られる地域
 

  フォーマルサービス

 ・介護保険制度に伴うサービス
 ・行政単独施策 等
 

  地域


 サービス事業所等を応援 

4.会議の進め方(案)

 医療福祉を考える会議の出席事業所に「事業所の悩みで地域が解決できそうな困りごとアンケート」を実施する。
 物語(Story)は、あくまでも予定であり、地域の状況に合わせて実施します。そして、 Story4の後の物語は、この物語の中で次の物語が描かれます。
 ★事業所お悩みアンケート実施も必要に応じて実施する。作成(市社協) 、アンケート配布(地域包括) 、データ整理(地域保健課)
物 語 テーマ 内 容
 Story1

 現状を知る
地域でのサービスを必要とする在宅高齢者が増える ~地域の未来を感じる~
 平均寿命・健康寿;命・コロナフレイル
《調整・社協、講演:地域保健課・地域包括》
~高齢化社会・コロナにより一層進む在宅化~
 ・平均寿命、健康寿命、健康寿命を伸ばすには
 ・コロナフレイルについて
地域の身近な出来事を講演形式で感じましょう。滋賀県平均寿命・健康寿命、コロナフレイルから見えること。
 在宅サービスの必要者の増加
 地域の未来を想像しよう
地域福祉活動の良さとサービスの必要性 ~暮らし 続けるために~
 高齢者の暮らしの問題は、サービスと地域福祉活動
《司会・市社協、ファシリ:地域包括・地域保健課》
 1.地域困りごとのニーズを実感しよう

 2.事業所の困りごとのニーズを実感しよう
 3.訪問サービスは、それぞれ高齢者の暮しの歴史に入るという意識の大切さを感じよう。事業所も地域の喜員、サービスへの地域理解が大切
 1.さわやか財団暮らし問題カードやアンケート等から見えてくる高齢者の暮らしの問題を発想の転換によって地域福祉活動の良さを実感しよう。「越えちやったゲーム」(市社協発案)
 2.事業所アンケートから感じてみよう
 3.地域福祉活動だけでは、救われない現実フォーマルサービスが必要、地域福祉活動とサービスの両輪の大切さを感じる
 Story2

 事業所等からの地域への思い
 事業所の悩み、地域で助けられることを考える ~地域の中でサービス理解を広げる~
 高齢者の暮らしの問題は、サービスと地域福祉活動
《司会・市社協、ファシリ:地域包括・地域保健課》
 1.サービスを知ろう
 2.サービス事業所から悩み(訪問駐車場の課題)
 3.サービス事業者の悩みを地域でどうしたらいいのか、地域でできることを考えよう
 サービスが必要な方にちゃんと届けられることが大切。まずは、サービスって知っていますか。どんな思いがあり、どのように頑張っているのかを知りましょう。
 その後に、具体的に、何を地域に助けてもらいたいのか。サービス事業者(ケアマネ・事業所)の声を聴きましよう。
 例:地域の理解、在宅訪問サービスの駐車場がないことで‥そこを助けてほしい。学区民の方々が安心して暮らし続けられるには・・・
 Story3

 地域はじめての事業支援案
 具体的にカタチにするためにすることをはじめま しょう~駐車場OK場所を探る~
 事業所応援駐車協力リストを作成するには
《司会・市社協、ファシリ:地域包括・地域保健課》
 ・どこに依頼しますか(意見を出し合いましょう)
 ・どのように依頼しますか(〃)
 ・駐車場どのように、わかりやすくしますか
 ・タイムスケジュールをつくりましょう
 ・記者提供とかしますか
 ・今後、企業(賛助会費企業にも広がることを)期待
 地域だけにたよるのではなく、事業所・地域包括・行政・市窮が、みんなで一緒に汗をかくことが大切です。
 地域と一緒に訪問サービスの未来をつくる気持ちで取組ましょう。学区民のためでもあり(我が事)、事某所のためでもあります。そして、一体感こそが、本当の目的であり、 その-つ駐車場では通報されないこと、見守り等が地域でできることなど「新しい地域づくり」丸ごとの地域づくりが進むのではないでしょうか。
 Story

 交流と対話から新しい展開
 交流と対話が新しい活動を生む
 交流会の実施
《司会・市社協、ファシリ:地域包括・地域保健課》
 ・老上・笠縫東・山田学区医療福祉交流会
 ・今回の取組をしての意見交換
 ・感謝と「ありがとう」の伝達式
 ・振り返ることで、意識の高揚を図り、対話と交流から「新しい地域福祉の推進」を語り合うことが、住みやすい地域となるのではないでしょうか。
 ・ケアマネ・事業所からのお礼も大切。
 事業所と地域を結ぶために「ありがとうは、心のバスポート」

具体的案

 実施することになりましたら、福祉・医療関係事業所等に協力駐車場の募集を進めていく
  ○広報紙等で市民へ啓発
  ○リスト化して、事業所等にも配布
  ○駐車場に協力ありがとう啓発をする
  ○市民へも、この取り組みを啓発する
ことで、訪問サービス等が普通に提供できる環境をつくる。
サービス事業所の車両が空いていたら止めていい学区内駐車場に、下記の赤いバラを掲示し、啓発を広げる。
もしくは、事業所にパウチした物を渡し、駐車する車のフロントに置く。こんなことも、考えてもいいのでは・・ ・

この物語の一番大切なこと

今まで地域会議の中で、訪問サービスについて、語り合ったことはないのではないでしょうか。この医療福祉を考える会議の場が草津市で初めて、フォーマルサービスを地域の中で語り、理解してもらえる場であります。
良さも大変さも必要性等」を語れる場になることを祈ります。そして、この物語では、駐車場のことだけでなく、フォーマルサービスの地域理解を広げるという過程に価値があります。
語らなければ変わりません。
伝えなければ理解されません。
是非、自分たちの働きやすい未来の社会(草津市)、自分たちがサービスを受ける時、良い社会をつくるという未来づくりをしましょう。